| きものの話あれこれ |
村田吉茂 |
1971年(昭和46年)9月「ミセス」掲載
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No.9 相応ということ
きものは全体の30%に
じみづくりにするといいましても、なにもかもじみにふけて見せればいい、というのではありません。きもの姿の身につけるものの配分をよく考えるということです。
きもの姿は、まずきもの、帯、羽織、コート、半衿、長じゅばん、帯揚げ、帯締め、草履などが、ありますが、この表から見えるものすべてで100%と考えます。この100%を、さきにあげたもので分配するのです。
たとえば、きものが30%、帯が30%、羽織が20%で残りを小物にあてれば100%ですね。ところがどなたも現実には、まずご自分の年齢にぴったりのきものを選んでしまいがちなのです。これではきものは30%どころか80%にも100%にもなってしまいます。そうなると帯も50%から80%、この比率で羽織や小物を合わせていくと、全体で250%にも300%にもなってしまいます。これでは過剰ですね。きもの姿は、にぎやかになればいいというのではありません。総計して100%がほどほどです。
きものは大きな部分を占めますから、よほど控えめにじみにしてちょうどいいものです。若さやはでさは、帯や小物の小さい部分で表現なさればよろしいのです。一般にこの計算をはでにまちがえると醜く、いやらしく見えることが多く、じみにまちがえても、いやな感じにはなりません。
お若いうちは少々はででも甘くても、まわりの目が許しますが、年代を経るにつれてまわりの目はきびしくなります。年齢不相応に250%にも300%にもはでに装うと、そのかたの教養が疑われるようになってくるのです。
きものを創作する立場のものからいわせていただけば、一枚のきものはまず十年は着ていただきたいと思うのです。そうでなくては創作者、製作者たちの苦労が報いられません。創作者たちは、十年たてもやっぱりいいきものだ、とおっしゃっていただけるものを、と考えながら創作しているのですから…。十年ぐらいは、すぐたってしまいます。
総計100%のきもの姿のためにも、いつまでも飽きずにたいせつに着ていただくためにも、きものをお選びのときには、少なくとも五年先ぐらいのものをお求めになるのが、賢いと思います。